江戸時代後期の農家。水利が良くなく水田は無かった。畑では、大麦・小麦・粟・稗などがつくられていた。昭和30年代の農家の生活を再現。土台の上に柱が立つ基礎形式で、束石の上にじかに乗る構造より進んだ形。平面は整形、「六間取り」で、ザシキとナンドの境に南に面して仏壇を置くのは、武蔵野の民家に一般的な形式。縁側が各部屋をとりまき、全体的に開放的、収納室であるナンドのみ、閉鎖的空間。ナカノマは四周に長押を持ち、天井の竿縁も細いことから、格式が高く接客空間として用いられた部屋と思われる。オクザシキは、付書院、床、違い棚などに、武家住宅における書院造りの影響をみることができる。ザシキ→ナカノマ→ヒガシノマ→オクザシキの順で格式が高まる。式台付きの玄関部分は、むくり破風に「鶴に雲」の懸魚(げぎょ)があったり、欄間のデザインの美しさもなども格式の高さを示している。

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