政治家の高橋是清邸。7度の大蔵大臣のほか総理大臣も経験するが、1936年の2.26事件で2階の部屋で暗殺されるまでの30年余りを過ごす。食堂は、南に出窓を持ち、床材は寄木張り洋風だが、長押や欄間などの和風の要素もあり、「和洋折衷」。部屋の性格に応じて形式を変えるが、すべての部屋に、部屋の性格に応じて形式を変えた「床の間」を配している。格天井をもつ仏間の「火灯窓」や玄関入り口の「桟唐戸」は、禅宗様や大仏様の様式。1階南の十畳2室は、天井板の幅が大きく竿縁が少ないことから主要な部屋であった。2階は柱が少なく、構造の合理化と自由空間は近代和風の特質。化粧材に良質の栂材を用いている。「ガラス」は建築史上も初期で、表面のゆがみをもつ。

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