建物ファサードは全体が銅板で覆われ、緑青が重厚な外観を形つくる。軒下の「デンテイル」、中央頂部の装飾、2階窓下の「刎高欄」(はねこうらん)など、銅板職人の精緻な技術が見れる。2階以上を左右対称とし、1階部分を非対称とする構成は、伝統的な出桁造りの延長線上にある特質。さらに庇の高さを、側面勝手口→台所窓→玄関の順で上げていく手法は、動的な印象を与えて効果的。2階は和風の造りだが、全体的には洋風でまとめている。完成度の高い「看板建築」のひとつといわれる。時計や貴金属を扱うが、お店にショーケースは無く、訪問販売のお店であった。江戸以来続いてきた伝統の証(あかし)をどこかに残したいという思いが、「刎高欄」であったのだろう。

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