板橋区常盤台は、理想的な道路網やインフラ設備を備えた健康住宅地として分譲され、建築内規により、文化住宅が建ち並ぶ住宅地となった。木造2階建て、外壁をリシン仕上げ。外観は左右非対称、交差点角部分を「搭状」にしている。軒の水平線と角部の垂直線の対比を強調するデザインは戦前期の都市建築に流行した。総体的に開口部が多く、特に北面は大部分が摺りガラス窓で、写真館の特徴を感じる。搭状部には「エレベーター」を設置。ホール南の応接室は、天井の太い「猿頬縁」(さるぼうぶち)が特徴。老人室は、網代天井、床の間の櫛形意匠など「数寄屋風」デザインが特徴的。食堂境に回転式ガラス欄間があり、夏場の通風に配慮している。2階は、階段上がると天井が高く広々とした自然光豊かなスタジオがある。階段室に面する腰壁の円形開口やニッチ風の飾り棚は写真背景を意識。「勾配天井」は、屋根勾配に準拠、北側トップライト、大きな摺りガラス窓は、むらのない自然光を取り入れるためのアトリエの手法。

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