山辺先生の講演を9/21に東京の蔵前にて聞いてきました。
関東大震災から100年。会場となった両国蔵前あたりも悲惨な光景だったようです。山辺先生が木造に真剣に向き合うようになったのは、1995年の阪神淡路震災が主な動機だそうです。その震災で、何が一番ショックだったかと言うと、6500人くらい亡くなり、その中の5400人くらいが家の倒壊と火災で亡くなっている。建物がしっかりしていたら、死者はそんなに出なくて済んだはずです。構造設計をやっている我々にテーマを突き付けられた感じがしたそうです。あの無念はなかった。壊れ方を見ても建物が抵抗した形跡もない。これでは、構造設計を職業としてやっている者に対して、責任を果たしていなかったと言われても仕方なかったと…
□山辺豊彦:阪神淡路震災、壊れ方を見ても建物が抵抗した跡形もない。家が人に対して加害者になってはいけない。この時の無念さから、木構造の道に進んだといいます。梁成はスパンの1/10、1/12だからこのくらいだと、経験と勘だけで決めていた。実験を続けて大工を「勘の世界」から「数値の世界」へと、木造住宅に科学の目を浸透させた。疑問は大工と共に自分たちで解き続けることだった。設計図書に責任を取る建築家の了見だということ。美しいものには必ず鍛えられた根拠がある。知ることは足枷にならずに、逆に自由の獲得になるという。続けていけば、本物になる。貫は接合部のめり込みで抵抗する。仕口数が多いほど耐力はあがるが、めり込みは粘りがあるが耐力が低い。めり込みの耐力は500㎏くらい。通し貫壁は大きな地震がきても粘りがあるから損傷は少ない。鉛直方向の支持力は残っているから、耐力壁をその周囲に配置してしっかり囲ってあげれば、耐震性の高い部屋になる。長ホゾ込み栓は渡りあごには特に重要、120角の檜の土台に杉の120角の柱を立てるとホゾの長さは115㎜、厚みは34㎜、そこに込み栓を土台天端から45㎜下がったところに打つ。4方差しの土台には45度で対角にドリルで穴をあけて込み栓の斜め打ち。(全て実験の結果)設計上、壁の多い箇所は壁倍率2倍くらいで良いかもしれないけど、少ない場所では4倍にしなければいけない場合が起こりえるし、面材は湿気に弱い。光も入り通気性ある高倍率な壁があるとプラン計画も広がるので、斜め格子壁に挑戦している。(実験中)