昭和初期の店舗併用住宅。創業者の為吉は、醤油醸造元で10年修行後、店を出す。日本酒が主な商品で、醤油や味噌、清涼飲料水、調味料、缶詰も売っていた。酒、味噌、醤油は「量り売り」だった。裕福な人が多く住む白金台で繁盛したという。「出桁作り」切妻、桟瓦葺き、木造2階建て。欅1枚板の看板が目立つ。2階縁の刎高欄(はねこうらん)も目を引く。出桁腕木の断面寸法が大きく骨太の印象。店舗の天井は構造体が露出する力強い根太天井。店と居住部の境は、格子戸の裏側の横桟の間に小障子をいれた「大坂格子」となっており、商家の造りの特質を継承している。袖蔵は妻入りで、壁面は黒ダイヤという石の入ったモルタル塗りで、江戸時代の蔵に見られた黒漆喰塗りの雰囲気を出している。

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