耐震や断熱も重要ですが、資産価値を守るためには、シロアリ対策も重要です。そのためには、シロアリのことを知る事が必要です。シロアリは日本に8種類ほど生息していますが、主にはヤマトシロアリとイエシロアリです。今後、このコーナーで、シロアリの最新情報をまとめていきます。

■はじめに、基本の2点を確認しましょう。

第一:住宅の3件に1件はシロアリが侵入しているといいます。シロアリが侵入したからといって家が崩れるということはありませんが、早期対策をすべきです。シロアリは、ゴキブリと同時期に発生し、枯れ木を食べていました。庭に枯れ木や切り株を放っておかない、土壌の上に木や紙、段ボールを置いておかない。基礎コンクリートの周りは見やすくして、シロアリを呼び寄せない、巣を作らせないようにするのがまず重要です。フェロモンをたどり活動することから、蟻道を作りその中を行き来します。しかし、シロアリを退治しても巣(コロニー)を取り除かなければ根絶は難しいといわれます。

第二:シロアリは、一般的に湿潤状態を好みます。雨漏り、水漏れ、室内結露の状態を作らないことも重要です。浴室側の基礎に蟻道を作り浴室の床下内に向かう、また雨漏りしている場所の基礎部分に地面から蟻道が作られる。このような被害を見てもシロアリが湿気を好むことがわかります。また、年に1回は床下を点検すること、シロアリ処理をしていても5年に1回は点検する必要があります。建築基準法では、地盤面から1Mの範囲を防蟻処理するようになっています。住宅性能表示制度では、劣化対策の項目で防蟻処理方法が問われています。たとえ、処理をしていようと、どんな家にも侵入する可能性があるのがシロアリです。絶対に大丈夫ということはなく、定期的に確認していくしか方法はありません。

■ 日本の代表的な ヤマトシロアリ、イエシロアリに関して。

〇日本の代表的なヤマトシロアリ、イエシロアリ(本来外来種)は、乾燥に弱く、適度な水分がないと生存できません。体を乾燥や紫外線から守るために蟻道(土と唾液を混ぜて作る)を、木やコンクリートの表面に作り、木材を食い荒らしていきます。「地下シロアリ」の分類です。

🐜ヤマトシロアリ

羽アリの飛翔は4月~5月の昼間、雨の日の翌日の温度が上がるときの日中に飛ぶ。黒っほい。飛翔距離は100m前後。水分を自分で運べないので、水に集まる傾向。雨漏りや水漏れに集まって窓枠を食害したりします。細い蟻道を作り、木部に届くと被害が始まる。ヤマトシロアリは小ぶりで頭部が丸い。地上からのアタック。

🐜イエシロアリ

羽アリの飛翔は6月頃~7月、蒸し暑くなって夕方に飛び、ライトに集まる傾向。ライトは消しておく方が良い。飛翔距離は100m前後。寒さに弱いため、関東以西の海岸沿いに多いが、最近は断熱性能が高まったため寒い地方でも見られる。土壌に蜂の巣のような巣をつくり、壁に中継地をつくりながら食害していく。ヤマトシロアリと比較すると、イエシロアリの方が体長も少し大きく動きも活発。コロニーも大きく数万匹の集団になり、水を運ぶ能力があることから、小屋組みにも大きな被害を与える。太い梁を折る被害もある。世界最強といわれ狙われたらヤバイ。被害大。太い蟻道を作り、木部に届くと被害が始まる。イエシロアリは頭部が三角。地上からのアタック。

■ 外来種の アメリカカンザイシロアリの被害が日本(本州、四国、九州)で広がってきています。地面からではなく空中飛来し乾燥材を食害します。

🐜アメリカカンザイシロアリ

〇あるひ、突然空中を飛んできて、乾燥した木材でも食い荒らす、外来種のアメリカカンザイシロアリの被害が日本(本州、四国、九州)で広がってきています。「乾材シロアリ」ともよばれ、経路は輸入家具や輸入建材、木工品からです。体長は7mmを超え、ヤマトシロアリやイエシロアリに比べて一回り大きい。毎年6月から10月の日中、巣作りのため羽アリが飛び出します。飛翔は10m位ですが、密集した住宅地では予防処理をしていないと被害があっという間に広がります。家の中に見慣れない木くずが見つかった時は、侵入の疑いがあります。次に、糞粒が見つかった時、糞粒の大きさは1mm弱で6本の筋があり、食べた木材の色をしています。散らばって落ちている時にはこの上部に、まとまっている時にはそこが蹴りだし穴です。木材の中を食害しながら進み糞がたまると穴をあけ外に押し出します。穴は、長い巣に繋がっています。アメリカカンザイシロアリの羽アリは、飛んできて適当な材を見つけると、自らの羽を切り離し木材の中に侵入します。1cmほどの長細い羽が見つかるのも要注意です。蟻道はありません。空中からのアタック。

■シロアリ対策方法

常の合成殺虫剤は、人体への影響を考え、数年で分解されるため、都度、再処理が必要になります。現在、ホウ酸処が良いとされます。自然素材です。アメリカやオセアニアでは既に、一般的に使用されています。健康被害や揮発による吸入の心配がなく、室内空気を汚さないため、アレルギーの心配もなく、永続的な予防効果があるとされています。著書「シロアリはホウ酸でやっつけなさい!」荒川 民雄 著※写真は日本ボレイト株式会社にライン登録し使用させて頂きました。

■木材の腐朽菌による被害について

床下では浴室を中心に、湿気や劣化の有無を調べます。そして木材の含水率や床下の湿度も調べます。通常、住宅の地下数m下は水を含む層です。湿度は木造住宅の床下から24時間絶え間なく上がってくるので、なんらかの対策が必要になります。特に床下の換気、湿気対策の検討は行われなくてはなりません。シロアリや腐朽菌などによる生物劣化は、木造住宅の床下から発生することが多いのです。浴室周囲を中心に床下の調査が必要になります。最近では土台下に基礎パッキンを入れ、土台と基礎の間に空間を作り、地中から基礎を伝わってくる湿気が木材にふれないく工法で、木材を劣化から守る上では効果的と思われます。特に、低地では湿度対策が必要です。

建物内においては、湿度を40%から60%程度にしたい。湿度が高すぎても、低すぎても問題なので、環境を知ることが必要です。特に布基礎に囲まれた基礎では湿度の滞留が生じやすく湿度対策が必要です。防湿フィルムを敷くだけでも効果は上がりますが、防湿コンクリートが効果的です。

木材の含水率が35%を超えると腐朽菌の生息範囲になります。木材の含水率が低ければ腐朽はしませんが、含水率が25%程度から木材の劣化が始まります。木材の含水率が20%から25%程度までは木材の繊維間にある自由水を蒸発させる。含水率を20%以下にするには繊維内の結合水を蒸発させなければなりません。この時に木材は変形や寸法変化を生じます。

木材は、樹種によっては耐久性、耐蟻牲が高い種類もありますが、耐久性が高いのは木材の芯材部であり、耐久性・耐蟻性が高い樹種であっても周辺部は、耐久性・耐蟻性は高くありません。そのたね、木造住宅の土台には、檜などの耐久性の高い芯持材(赤味部分)が必要になります。

また、周辺道路が舗装されるたびに道路面が上がり、あわせて宅地内の地盤もあがり、基礎が埋まってしまったために、土台の含水率が高くなって腐朽した事例もあります。

■主な種別の耐蟻牲と耐久性

耐蟻牲 主な樹種名(芯材)
ヒバ、コウヤマキ、イヌマキ、イスノキ、タブノキ、カヤ、ベニヒ、タイワンスギ、ローズウッド、シタン、チーク
ヒノキ、スガ、ツガ、ベイヒ、クリ、クスノキ、カツラ、ケヤキ、トチノキ、アカガシ、レッドメランチ、ブラックウオールナット、シルバービーチ
熱帯産材を除くすべての辺材、モミ、エゾマツ、トドマツ、カラマツ、アカマツ、クロマツ、ラジアータマツ、ベイツガ、ベイスギ、ベイマツ、セン、ブナ、ホワイトウッド
耐久性 主な樹種名
極大イビール、ギアム、チーク、ビチス、パラウ、コキクサイ
ヒノキ、サワラ、ヒバ、ネズコ、イチイ、カヤ、コウヤマキ、ケヤキ、クリ、ホウノキ、ベイヒ、ベイヒバ、ベイスギ、センペルセコイヤ、マホガニー
スギ、カラマツ、アスナロ、カツラ、クヌギ、ミズナラ、シラカシ、タブノキ、ベイマツ、ホワイトオーク、ライトレッドメランチ、イエローメランチ、カプール
アカマツ、クロマツ、モミ、ブナ、コナラ、アベマキ、ヤチダモ、アカガシ、ストローブマツ、ベイツガ、ヒッコリー、レッドラワン、アピトン
極小ハリモミ、エゾマツ、トドマツ、イイギリ、クスノキ、シラカンバ、セン、シオジ、スプルース、ベイモミ、ラジアータマツ、アガチス、セルチス、ラミン、ホワイトウッド

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